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「なんで……」
ぼそりと――。
「何で邪魔するの……」
駄々をこねる赤ん坊のように――。
「私、ずっと待ってたのに。とうとう来たと思ったのに」
静かに、だが狂気を灯して――。
「何でみんな邪魔ばっかりするのよぉおお!!」

秋子は絶叫して駆け出した。


――瞳から溢れ出す、涙。


「くぅっ!?」

鉈が、強い勢いで叩きつけられる。
晴香はそれをかろうじて受ける。

「誰も……」

あまりにも重い一撃を、
何とか受け流しそして切りつけた。

「誰も邪魔なんてしてないわよ!!」

鈍い感触がする。
こんな時なのに、私も甘チャンね。
――その斬撃は峰打ちだった。
そして後ろからはなつみが、
少し扱いにくそうな長い鞘で切りかかる。

「あなたが勝手に、そう思い込んでるだけ」

肩の辺りに、強い衝撃が走る。
痛烈な攻撃が、二発も体に刻まれる。
秋子は、喋らない。
それは痛みゆえのものか――。


     ・


「うそばっかり」


     ・ 


「ぎああああああああああ!」

鉈が、走った。
それは、なつみの太ももの辺りを切り裂いていた。

「もう、私騙されないよ」
少し胸を張って。
「だってもうたくさん騙されてきたんだもん」
血に染まった鉈を振り上げる。
「ぐ、何……で」
苦しそうに呟くなつみ。

「ぐぅっ!」
晴香は再び秋子を止めようとする。
だが……。
「あぐぅっ!?」
切りかかろうとして開いた胸元を、
思い切り肘で打たれた。
思ったより強い衝撃。
呼吸が――出来ない。

「祐一、いじわるだからすぐ私のこと騙すんだよ」
にこにこと言う。
血まみれの笑顔、
なのにひどく幼げな笑顔。
なつみは、恐怖が心に芽生え始めたことに、既に気付いていて。

「香里とかも、一緒になってそう言うことするんだよ」
ひどく体が傷ついてるはずなのに。
もう、倒れていてもおかしくないはずなのに。

「でもね」
動けない。
なつみは動けない。

「私だって、ずっと騙されっぱなしじゃないよ」
にっこりと、笑う。
「……いやぁ」
震える。
体が震える。
どこからきたのか、分からない震えがなつみを揺らす。

「いっぱい、我慢してきたんだよ」
もう、その目はなつみを見ていない。
晴香も見ていない。
見ているのは、もう遠い――。

「たくさん、待ってきたんだよ」
やめ……。
がふがふっ。
激しく咳き込む晴香。
放っておいたら、あの子がやられる。
もう、人が死ぬのはうんざりな筈なのに――。

「だからもういいよね? 我慢しなくて」
にっこりと、笑う。

――それなのに、止まらない涙。

「だから――」

「いやぁ、いや、いやぁぁぁぁあああ」
なつみが喚く。
瞳には涙をにじませて。


        ・


「もう、イチゴサンデーじゃ許してあげない」


        ・


そして、鉈が、再び、振り下ろされた。

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