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指向性


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社を離れるときは、あっという間だった。
坂を下り、林道を抜けて行く。
結花とスフィーは、結界に対する果てしない考察を更に加えていた。

そのうしろで黙々と歩く黒い影。
小脇に抱えた大きな本に、黒マントとトンガリ帽子。
時代を超えて現代によみがえる魔法使いが、そこにいた。

普段、ぼーっとしているようにしか見えないのだが。
来栖川芹香の頭脳は、高速回転していた。

ちょっと前に三人で行った、リストの分析を一人脳内で続けていた。
(…危険人物は、やはり能力者でしょうね)
気になる人物を思い浮かべ、再びリストを開く。

 >御堂。
 【強化兵】:戦闘能力のいくらかは制限されるが、技術的なものに衰えはない。

(…顔が怖い…)

 >国崎往人。
 【法術】:現状まま。

(…目付きが邪悪…)

気になるのは二人だ。
実は、オカルトに詳しい芹香は組織側の新興宗教についても若干聞き知っていた。
そのため、生き残っている不可視の力使いに危険人物はいないと判断した。
鬼の伝承についても知っており、柏木耕一も特に危険とみなさなかった。

 「あれー?芹香さん、またそれ見てるのー?」
 「なになに、こんなのが好みだとか?」

 「……(ふるふる)」

…好みかどうかは関係ない。
個人的感情をよそに置くと、国崎往人が気になる。
まず、法術というのは…こういう人物が使うものだったろうか?
こちらを睨みつけるような三白眼がギラリと光っている。
それに…”現状まま”とは、どういうことだろうか?

 「うんうん、人は見かけによらないもんね」
 「そーだね、実際は、どんな人なんだろうねー」

 「……(ふるふる)」

…どんな人かは興味ない。
能力を制限する結界が島内にあるのは、これ以上なく確かなことだ。
そして、制限のかかり方にはムラがあり、纏めてみると指向性がある。

制限は技術や知識には全くかからない。
物理的能力に関しての制限はそこそこ。
精神的能力に関しての制限はかなり強い。

芹香の知っている法術は、間違いなく精神的なものを根幹に発するもの。
それが、現状まま?…現状?
現在の情況と、同じ?

…このリストを編集した際、すでに結界の影響を受けていたと?

ピンと来た、という奴である。
そうであれば、この目付きの悪い青年から結界に関する何かが得られるかもしれない。
打つ手のない今となっては、唯一の頼りかもしれない。

 「またまたー照れちゃってー」
 「しょうがないなあ、前言撤回して探してみる?」

 「……」

 「どうせ社も見つからないしねー」
 「こっちには銃もあるし、なんとかなるよ!」

…相変わらず、会話は通じていなかったが。
それでも、国崎往人を探すという結論は満足いくものだったから…黙っておくことにした。


【009江藤結花 037来栖川芹香 050スフィー:033国崎往人捜索へ】

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