ポケット
久々みた太陽に、心が洗われるような気がした。
森のざわめきが聞こえた。葉の間から、暖かい太陽が僕らを照らしつづけていた。
太陽というものはいいもんだ。心を明るくさせる。そして、僕、北川潤の隣には、女の子がいる。
僕は、パソコンもCDもこんな戦場のコトも、なにもかも忘れしまいそうな気がしていた。
ある意味これってデートだな。そう思うようにもなっていた。
「ジュン、きもちいーね」
レミィがとびっきりの笑顔で言った。
「あぁ、そうだな」
と僕はそっけなく答えた。
前を歩いていたレミィは僕の顔に顔を近づけてきて、
「もっとちゃんと答えたほうがイイヨ! そのほうが女の子、喜ぶよ!」
と自分の顔と僕の間に人指し指を立てて、言った。
そうか、それなら、もっとちゃんと答えてやるかな。今度は。
それにしても、レミィは俺のことをどう思っているのだろうか。そう思った時にはレミィは僕より10mほど前を歩いていた。
僕は、気がつかないうちに、少し、立ち止まっていたようだった。
「はやくージュン!」
こっちをむいて、手招きしてレミィが手招きをしていた。僕が軽く、小走りで追いついたら、レミィは又前へ一歩踏み出した。
バキっという音が鳴った。
その瞬間、レミィは地面に伏していた。
目に入った、パンツの色は白と黄色のストライブだった。
僕はそれをすかさず脳内メモリに格納していた。
「おまえ、何やってんだ?」
「イタタタタタ、チョットすりむいちゃったヨ!」
「なにもないとこでよく転げられるな」
「すごいでショ〜?」
「あまりすごいとはいえないな」
そんなやり取りの後、2人で笑った。
太陽は相変わらず、僕らを照らしつづけていた。
僕らはこのとき、レミィのポケットの中で起こった重大な事件について、しるよしもなかった。
今、僕の頭の中では、未だに白と黄色のストライブが何度もリピートされていた。