ゆめのあと
夢を、見た。
みゅーをうめにいって、そこであったひとたち。
こうへいさん、みずかさん。
みゅーがいなくなって、さみしくて、こうへいさんの学校へいった。
みずかさんは、笑ってってあたまをなでてくれた。
こうへいさんも、あきれ顔だったけど、学校にいくことをゆるしてくれた。
せいふくももらって、しばらくあの学校へかよった。
こうへいさんには「おとうさん」のようなきびしさとやさしさがあった。
みずかさんは「おかあさん」みたいだった。
ななせさんは、なんだかんだでかまってくれて、「おねえさん」みたいだった。
たのしかった。
ハンバーガー、いっぱい食べた。
じゅぎょうに出た。
ななせさんのかみのけで、遊んだ。
かえりみち、いっしょに歩いた。
もとの学校にもどると決めたときも、笑顔でおくってくれた。
ぜんぶ、たいせつな、想い出。
かえりたかった。あのころに。
もどりたかった。あのばしょに。
だけど――
夢から唐突に、瑞佳さんの姿が消える。
夢の世界が、黒く、染められていく。
瑞佳さんはもう、いない。
このわけのわからないゲームとやらのせいで、命を落としたのだ。
もう、あの頃に帰れない。
もう、あの場所に戻れない。
復讐なんて真似はしない。
そんなことをしても、瑞佳さんが戻ってくるわけじゃないのだ。
それに、誰かを傷つければ、また悲しみが増える。
そんなことに意味はないのだ。
どこまでも冷静に頭が回る。
感情に任せてしまえば、流されてしまえば、どれだけ楽になれるだろう。
でもそれは、きっといけないことなのだ。
今だから、この頭だから、理解できた。
そう、『理解』できてしまうのだ。
だが、咄嗟に取ってしまう行動というのも存在するわけで――
自分の手には、刀が。
教会で人を刺した、その映像がリアルタイムに再現された。
私が刺した人。
その顔が振り向く。
血にまみれて、笑っていた。
「いやぁぁっ!」
私は目を開けた。
夢を、見ていた。
そして今、最初に映ったのは。
恐い顔。
その顔が、言った。
「目、覚めたか?」
「きゃぁぁぁぁっ!」
私は思わず、その人を殴りとばしてしまった。