男二人。史上最大の作戦
「外から見た感じだと施設はこれぐらいの大きさだと思うのだが」
蝉丸さんがペンで基地のだいたいの形を描いてみる。
「まぁ地下がどうなっているかは分かりませんけど、確かに…」
トン……トン…トン…
俺がその施設の外周三箇所を指でたたく。
「ここが俺達の見つけた入り口。裏のこことここ辺りに脱出口がありそうな雰囲気ですね」
自分なりの推理。的確なポイントだと我ながら思う。蝉丸さんの表情が驚嘆のそれになる。
「君は一般人だろう? なかなかの推理力だ。私が考えていたのと変わらん」
「はは…。臆病なだけですよ」
リビングルームに男二人。作戦会議は続いていた。
ん?
そう言えば…。
「蝉丸さん。晴香さんは今何してるか知ってます?」
一人だけ、自分が行動を把握していない人物がいるのに気づいた。
「彼女なら、ドラム缶見つけたからドラム缶風呂をする。とか言って外で準備していたぞ」
は?
「ド…ドラム缶風呂っすか!?」
「うむ。少々危険だとは思うのだがな。やはり婦女子は気になるらしい」
確かに最近皆風呂に入っていない。常に活動しているので汗はだだっかきだ。
婦女子と言わず、男の俺でもそろそろ気になる。
「ふむ…そうだな。施設うんぬんよりそっちの方を決めるのが先決かもしれないな。
男としてやらぬわけにはいくまい」
蝉丸さんはもう一枚紙を取り出し、この家のだいたいの形を絵にする。
「耕一君。君ならどうする?」
え? そんなこと言われてもなぁ…。真面目な顔で言われても…。
確かにマナちゃんや初音ちゃんはともかく、晴香さんあたりは覗いてみたい気はするな〜。
ぐっ…。いかんぞ男耕一。そんな情けない行為を初音ちゃんにでも見られてみろ。
「お兄ちゃんのエッチ〜!!」ばしっ!
ぐらいは食らうかもしれん…。しかしこっちには戦闘・隠密のプロ。蝉丸さんがいるわけだし、
ちょ〜っと俺の好奇心もムラムラ〜と…。
「そうですね。こことここ辺りが最適なんじゃないかと…」
自分なりの推理。的確なポイントだと我ながら思う。しかし蝉丸さんの表情が落胆のそれに変わる。
「残念だ耕一君。そこでは遠すぎる。確かに視界は確保できているが、部屋の中からというのは決定的にまずい」
え? だってそれ以上近いと、確かに楽しいけど見つかる可能性が…。
「特に最重要警戒地点のこの繁みから彼女らが襲われた場合。対処に大きく時間がかかってしまう。
他の参加者が長距離射程武器を持っていないとも限らんしな。
耕一君は攻めは得意でも、警護には向いていないのかな?」
え?
…。
……。
………。
しまったーーーーーーーーーー!!
一人だけで不謹慎な想像していたのかぁぁぁ!!
先生…すっごく恥ずかしいじゃないかーーーー!
不謹慎な僕を許しておくれよ初音ちゃん…。
カタン
俺の魂を現実に連れ戻した、廊下からの物音。
出てきたのはマナちゃんと月代ちゃん。
「あ、彰くんの様子はどうだった?」
当然の問いにビクッと体を硬直させるマナちゃん。
「ああ、あ、げ…元気。元気なんじゃないかなぁ…?
あはは、あはははははは…」
「ふむそうか、なら良かった。だがもう少し休ませて体力を回復させておきたいな」
「体力を回復…ねぇ……、余ってんじゃないかしら(ボソッ」
??
さっぱり要領を得ない。
しかし俺にはもうひとつ疑問がある。
月代ちゃんの仮面ってなんなんだ?
(;´д`)
【083三井寺月代 再び(;´д`)】
【092巳間晴香 ドラム缶風呂準備中】