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施設最終戦〜一瞬の勝負〜


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ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ――

繭を安全圏へと無理矢理投げ捨てていた御堂は、わずかに逃げ遅れた。

回転式機関砲(ガトリングガン)から放射された弾丸のシャワーが御堂を襲った。
「がっ……」
わずかに逃げ遅れただけとはいえ、無数の弾丸が御堂の背中に、足に突き刺さる。
すぼめた御堂の頭にそれが当たらなかったのは奇跡であったかもしれない。
震える手で、懐から手榴弾を二つ取り出すと、ピンを抜いて、源五郎の方へと放った。
それが勢い良く爆発する。
当たるとは思えない。ただの時間稼ぎだ。
手榴弾の爆音を聞きながら、なんとかシャワーの届かない通路へと転がりこんだ。

「ぐうう…」
もう、ガトリングガンの射程距離からは全員が逃れていたが、未だシャワーが壁を穿つ音が響いている。
感覚のなくなった足で、ただ進む。それは来た道をゆっくりと歩いたときよりも遅い足取りだった。

「……!!」
御堂が逃げ込んだ通路は、詠美、そして動物達のいる方の通路。
ちょうど、詠美、御堂と、気絶した繭は弾丸のシャワーで寸断された形になっていた。

目の前で、血相を変える詠美の姿が、歪む。
「ちょ、ちょっとっ…」
御堂の背後に、おびただしい量の血が溢れ、地面に小さな赤い川を作り出す。
「どじっ…たぜ…くそが…」
壁へと背中を預ける。もう、痛みなど微塵もなかった。
「し、しっかりしてっ!!おじさん!!」
「けっ……下僕、いや、したぼく扱いはしねぇのか…?」
「そんなことっ…!!ねっ、はやく逃げなきゃっ…!?」
「俺は…くそ、体が言うこと聞きやがらねぇ…」
御堂の体からはすでに大半の血が体外へと流れ出ていた。常人ならば確実に死んでいる出血の量。
仙命樹の力はほとんど失われているとはいえ、わずかに残されたその力が御堂の命をつないでいた。
だが、今この瞬間に結界が解かれるならばともかく、このままではあまり長い間はもたない。

壁に付着した血で滑るのにまかせて、そのままずりずりと座り込む。
「おめぇは…逃げろや…」
「あんた置いて…繭ちゃんを置いて…逃げられるワケないでしょ!?」
詠美の視界が、涙で滲んでいく。
「死ぬぞ…」
「置いていくよりマシよ!昔あったみたいにっ…!!」
釣り橋で、身を挺してまで自分を助けた由宇。
自らの浅はかな行動で、命を落としてしまった和樹と楓。
あの時の自分のとっていた行動がもし違っていたら、未来は変わっていたかもしれない。
だが、それはもう過去にあった確かな現実。流れゆく時が逆行することだけは、けしてない。
「もう、二度と後悔なんてしたくないっ……!!」
「じゃあ…戦うか…?」
かすれた御堂の声とほぼ同時に、ガトリングガンの銃声が止んだ。

「…源之助さんは、恨んでいるのでしょうかね…たった一人、重役を押し付けられて」
ガトリングガンはここから移動させることはできない。
射程距離外へと逃げてしまった御堂にとどめを刺す為の最後の武器であるリボルバー銃を手にすると、
白衣を翻して前へと進む。大量の血が流れるその先へと。


「戦うか…?」
呆けたような口調で、だが、目だけは真剣に詠美を見据えて、そう言った。
ゆっくりと、その意味を噛み締めながら、頷く。
「自分から、現実から逃げて…後悔は、したくないから」
「相手を…殺すっ…てことだぜぇ…」
「…うん」
「しく…じれば…おめぇが死ぬ。…それでも…か?」
「…うん」
「生きて帰れば、死ぬよりもつらいかもしれないぜ…罪を…背負うってなぁ…そういうもんだ…」
「覚悟してる」
「逃げるより…後悔するかも…しれない…未来が…あるかも…」
「それも――覚悟してる」
「……」
「……」
「けっ…おめぇなら、大丈夫だ…戦え。機関銃ではなく、ぽちの方でな…」
「うん…」
「俺様を、背負え」
「えっ?」
「はやくしな…もう、ヤツがくるぜ…」
「う、うん…」
戸惑いながらも、御堂を背負う。その体は、悲しいほど軽くて。
「通路の向こうへ、下半身に力を入れて銃を構えろ…」

言われたとおりに、両足で踏ん張りながら両手でポチと呼ばれる拳銃――Cz75――を構える。
「こ、こう?」
「そうだ…」
震える手で、御堂が詠美の手に自らの手を重ねる。
「一発勝負だ…俺…が照準なら合わせてやる…」
全身防弾服を着込んだ源五郎に、非力な詠美では機関銃は分が悪い。
あえて、小銃での一発に賭けさせた。

本来なら御堂が撃つべきなのかもしれない。
だが、もはや照準を合わせ、防弾チョッキに覆われた源五郎に致命打を与えること、
そして、銃の反動に耐えられる力はない。…引き金を引けるかどうかも怪しい。
「もっと…腰を…落とせ…腕はこう…」
「うん…」
「狙うのは眉間だ…俺が撃て…と言ったら…撃て…覚悟は…」
「できてる」
「そうか…。いいな…撃て…と言ったら…引き金…を引く…だけで…いい…」
「ぴこ…」
「にゃう…」
(ばっさばっさ…)
寂しげに、動物達が御堂のそばを回る。
「離れてな…」
獣を一度見て、力なく、笑った。

「これが私の最後の仕事だな…規則違反な上、任務放棄状態だが…まあ、それもいいだろう」
マザーコンピューター室に残した最後のHMが気がかりではあったが、もう、それらを顧みる時間はない。
「最後まで駄目な親だったな」
リボルバーに弾を込め、シリンダを回す。
源三郎には大分劣るとはいえ、射撃の腕はそこらの戦闘員よりは上だ。
傷ついた御堂相手ならば互角以上に戦える。
「さあ、決着をつけようか、御堂…」

詠美の視界の先、三つの通路が重なり合う中心部、源五郎の影が近付いてくる。
震える詠美の手の上に重ねられた御堂の手が心強く感じる。
これが、最後の――そして一瞬の勝負。


【現在地 正三角形型に伸びる二つの連絡通路と、中央に伸びるマザコンへの通路の3つの通路が交錯する場所
 =千鶴、梓、あゆとの待ち合わせ場所】
【御堂 デザートイーグル×2 予備マガジン入手】
【椎名繭 大庭詠美 サブマシンガンをそれぞれ入手】
【御堂達 千鶴 梓 あゆ の分の武器を入手】
【椎名繭 気絶中】
【長瀬源五郎 体内爆弾爆破光線銃 スミスアンドウエスン 最後の無記入CD 所持】
【ガトリングガン 放置 移動、持ち運び不可】

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