焦り過ぎた故に…
――それは北川が出発してからすぐの事だった――。
「北川さん、行っちゃったね。」
「……。」
「私達もそろそろ荷物まとめて出発しないとね。」
「……(こくこく)。」
私達は荷物を整理していた。使えるもの、使えないものの仕分け。弾数の確認。
女の子二人では持っていける量も限られるので必要のなさそうな物や、
私達では使えなさそうな物はここに埋めていくことにした。
そして分別がおわり出発しようとしたときスフィーがついにアレを見つけた。
「あれ……このキノコたしか……。」
「……。」
「え、このキノコがどうかしたかって?このキノコはね……。」
――私の国で実験用に昔作られたキノコにそっくりなの。この見た目といい独特の香りといい。
――このキノコは性格反転キノコっていって、私のご先祖様でとっても内気な人がいて、
――その内気な性格を直すために作ったの。
――その内気な性格を直すために作ったの――
――その内気な性格を直すために作ったの――
――その内気な性格を直すために作ったの――
頭の中で何度も繰り返される言葉。
自分の意志を周りに伝えることが出来るようになるキノコ。
綾香も浩之も居ない今、私にどうしても必要な物。
だから私は次の言葉を聞き終わる前にキノコの一つに噛み付いていた。
――その内気な女王様はね確かに内気な部分は治ったんだけど、
――思慮深い部分まで反転してしまったの。
【芹香ついに反転だけを食べる】
【残りキノコは2つ】