目的


[Return Index]

 力と力の干渉。
 どこか遠くの場所で沸き上がった異質な力を、『俺』は感じ取っていた。
 そしてそれを、自分の力で潰してみたいとも思った。
 生命が散る間際の炎ほど美しいものはない。
 その命が強大な力を持てば持つ程、その輝きは映えるのだ。
 女達を犯すことの他、もう一つの目的が出来た。
 あの力を持つ者と戦い、命の灯を摘み上げること。
 破壊は美しい。
 性欲。殺戮衝動。生き物は皆、本能こそが真なる姿。
 理性などというものは、必要ないのだ。

 放送がかかる。
 長瀬祐介、天野美汐の名を聞いた『理性』が激しく揺れ動くのがわかった。
 さすがに強靱な精神力を持っているために、それでも一筋縄ではいかないようだが。
 焦らず、焦らず時を待つ。
 すぐにでも暴れ出してやりたいが、今の力でそれは出来ない。

 まぁ、いい。
 俺は気が短いが、おとなしく辛抱するのもまた一興。
 その期間は、後に残った愉しみのための、最高のエッセンスとなるだろう。

 雷鳴がする。
 空に広がる黒雲は、『俺』に壊されるこの島の連中の未来のように思えた。

[←Before Page] [Next Page→]