目的
力と力の干渉。
どこか遠くの場所で沸き上がった異質な力を、『俺』は感じ取っていた。
そしてそれを、自分の力で潰してみたいとも思った。
生命が散る間際の炎ほど美しいものはない。
その命が強大な力を持てば持つ程、その輝きは映えるのだ。
女達を犯すことの他、もう一つの目的が出来た。
あの力を持つ者と戦い、命の灯を摘み上げること。
破壊は美しい。
性欲。殺戮衝動。生き物は皆、本能こそが真なる姿。
理性などというものは、必要ないのだ。
放送がかかる。
長瀬祐介、天野美汐の名を聞いた『理性』が激しく揺れ動くのがわかった。
さすがに強靱な精神力を持っているために、それでも一筋縄ではいかないようだが。
焦らず、焦らず時を待つ。
すぐにでも暴れ出してやりたいが、今の力でそれは出来ない。
まぁ、いい。
俺は気が短いが、おとなしく辛抱するのもまた一興。
その期間は、後に残った愉しみのための、最高のエッセンスとなるだろう。
雷鳴がする。
空に広がる黒雲は、『俺』に壊されるこの島の連中の未来のように思えた。