口は災いの門


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それにしても腹減ったなぁ。
多分もう昼過ぎだから仕方ないと言えば仕方ないな。

「北海市場!激安食品販売店です!食費が今の半分になります!」

何故かそんなフレーズが頭に浮かんだ。
蟹、イクラ、ホタテ、もずく………食べたいなぁ。
いつもなら「お昼休みはウキウキウォッチング♪」から「何が出るかな、何が出るかな♪」の
ゴールデンコンボを見ている時間だからなぁ。
などと言うことを考えている間も七瀬さんと晴香さんによる国崎往人公開尋問ショーは続いているようだ。
あの二人が刀もって尋問してる様子を一言で表すと、「あれは恐ろしい物だ」って感じだな。
しかしこのままじゃらちがあかないのでそろそろ俺様の出番だな。

「まぁまぁ、七瀬さんも晴香さんも落ち着いて」
ギロッ!という擬音が聞こえてきそうな程の勢いで二人ににらまれてしまいました、母さん。
蛇ににらまれたカエル、どころの騒ぎではありません。
例えるならラオウの前の村人A、もしも「お前はもう死んでいる」と言われたら
僕は「アベシ!」と言いながら死んでしまってもおかしくないほどです。
それでもわずかながらの勇気を振り絞って二人の女王様に提言いたしました。
「あ、あのデスね、ぶ、武器も持っていないようですし、た、多分危険な人では無いと思われますです、ハイ」
「まぁ、そうね。見た目は十分に怪しいけどね」
そう言って二人は刀を納めてくれました。良かった良かった。
「すまない、助かった」
「いえいえ、大したことはしておりませんよ、国崎往人さん」
「そう言えば………何故お前は俺の名前を知っている?会ったことは無いはずだが」
「ああ、そうそう。私達もそれが聞きたかったのよ」
「あ、それはですね。国崎さんの事を捜している女性二人組と少し前に会ったからです」
「何?!それはどんなやつだ?!」
国崎さんが突然俺の言葉に凄い反応をしたので少し驚きながらも答えた。
「え、え〜とですね。長い黒髪のお嬢様風の人とピンクの髪の小さな女の子でした」
「そ、そうか」
そう言った国崎さんの顔には失望の色がはっきりと表れていた。
「その人達国崎さんの知り合いなの?」
「いや、聞いた感じでは全く会ったことも聞いたことも無い」
「じゃあ何でその人達国崎さんの名前知ってたの?」
「その二人が参加者名簿を持ってたからだよ、晴香さん」
「ふ〜ん、そうだったんだ」
晴香さんはあまり興味が無さそうに返事をした。

「あ、そうそう。自己紹介がまだだったわね。私は七瀬留美、でこっちが」
「巳間晴香よ」
「俺は北川潤だ」
「あ、ああ。国崎往人だ、っともう知ってるみたいだがな」
「でもどうして国崎さんあんなところに居たの?」
七瀬さんが木の上を指さしながらそう尋ねた。
「いや、それが俺にもさっぱり分からん。気がついたらあの木の上にいたんだ」
「ふ〜ん、不思議なこともあるもんね」
「それよりもお前達に一つ聞きたいのだが、この辺で女の子と関西弁のおばさんの二人組を見なかったか?」
「さあ?知らないわ。北川は?」
「いや、俺も見たことないな」
「そうか………、邪魔したな」
そう言って国崎さんが立ち上がった。
「俺は人を捜さなければならんのでな、失礼させてもらおうか」
「わ、ちょっと待て!捜すってあてはあるのか?」
「………無い」
「それじゃあ、俺と一緒に行動しないか?あんたを捜してた二人に会わせたいんだ」
「悪いが俺にそんな暇は無い、早く二人を捜してやらないと」
「まぁ、待て。あてもなく捜しても仕方ないだろ。その二人に会ってくれるならこれをやるからさ」
「何だそれは?」
「これ、詳しい理屈は分からないがどうやら対人レーダーみたいでさ、これがあればあんたの捜し人も
 早く見つかるんじゃないのか?」
「何?!本当か!」
「ああ、ほらこの光の点が人を表してるみたいでな、ほら中心に4つあるだろ。で、この端っこにある2つの点が多分
 あんたを捜してたっていう二人組だ。方角的に間違いなさそうだ」
「………」
「どうだ?悪い話じゃないだろう?それに国崎さん武器も持ってないみたいだしさ、俺と行動した方が安全だと思うぜ」
「………いいだろう、だがその二人には会うだけだぞ。その後すぐに観鈴たちを捜しに行かせてもらうからな」
「ああ、それで構わないぜ」

よし、これでスフィー達に国崎さんを会わせることができるな。
会わせる義理は無いけどな。ま、相沢を看取った仲だしな。
それに健太郎さんのこともスフィーに一言伝えておかなきゃならないしな。丁度いいか。
「ちょっと北川」
「ん?何?七瀬さん」
「蝉丸さんたちのところに行くっていう話はどうなったのよ?」
「ああ、それは国崎さんをその二人に会わせてからそっちに向かうよ。そんなに急いでるわけでもないしな」
「そう、まぁあんたがそれでいいんなら構わないけどね」
さて、話もついたことだし一安心だ。
………あ、もう一つあったっけ。
「あの〜、晴香さん、七瀬さん」
「何よ」
俺は恐る恐る切り出した。
「それでですね、国崎さんにも何か武器が必要だろうしこの3つ俺が持っていってもいいよね?」
うぅ、二人の視線が痛い。
「ま、いいわよ。どうせ私達もそんなに持てないし」
「そうね」

ふぅ、生きた心地がしなかった。あの二人に睨まれたらメデューサも真っ青だな。
え?なんか二人の顔が急に険しくなったぞ?
「北川、あんた死にたいらしいわね」
「七瀬、私も手を貸すわ」
って俺また口に出してたのか〜!!!!
「く、国崎さん!助けて!」
「………二人とも死なない程度にしてやってくれないか。いや、待てよ。死んだらレーダーが無条件で手にはいるな」
「え?え?」
「と言うわけで好きにしていいぞ」
「ちょっと………」
「ま、そう言うわけだから」
「覚悟しなさい」
そう言って二人が近づいてきた。
二人とも笑顔だけどなんて言うかこんなに恐ろしい笑顔を見たのは初めてだ。

相沢、案外早くお前に会えるかもな。

【北川 CD1/4、2/4、無印、志保ちゃんレーダー、M19マグナム、クマ爆弾、釘打ち器、大振りのナイフ所持】
【晴香 刀、ワルサーP38所持】
【七瀬 毒刀、手榴弾三個、レーザーポインター、瑞佳のリボン所持】
【国崎往人 北川と共に行動する】

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