姉として
私は解析の間、昔のことを思い出していた。
私の母は若くない。両親は婚姻の儀をすませるとすぐに後継ぎをつくろうとした。
しかし母は流産の連続で、グエンディーナ中は失望に包まれていった。
だから私が40を過ぎた母から生まれた時、両親はもちろん国中が歓喜の嵐だったらしい。
母の年齢からいって、私が唯一の子になるであろうことは国中みんなが覚悟していた。
その2年後リアンが生まれた。
成長するにつれ家族、とりわけ祖父の目はリアンに向くようになった。
おそらく私の父と母そして祖父のような家族の場合、神さまからの授かりものはより聡明な方一人で充分だったのだろう。
(事実嫡子が継ぐ、という掟を祖父は改正しようと考えてたらしい)
そんな環境では姉妹仲は険悪だと思うでしょう?
だけど私たち姉妹はめったに喧嘩もしなかったし、憎みあうこともなかった。
リアンは両親や祖父にかわいがられてる時も常に私に気を配ってたし、私の悪口を聞いたら怒って部屋に閉じこもり1日は出てこなかった。
そうこうしている内に私とリアンは大の仲良しとなった、家族にとっては皮肉なことだったが。
私たちは遊ぶ時は何をするのも一緒だった。
ままごとから始まり、
川遊び、(リアンは泳ぎが苦手だったけど)
虫集め(リアンは虫が嫌いだったけど)
魔法を使ってのいたずら、(リアンは反対したけど)
移動魔法による国外旅行、(リアンは泣いて反対したけど)
もちろん寝るのも一緒だった(実はこの年になっても続いていた)。
私にとってリアンはカケガエのない存在だった、だから今でも死んだなんて信じられない。
なんでこんなこと思い出したのかわかる?
あまりにも悲しすぎるから忘れようとしていたのに。
あそこのベットの血のせいだよ。
たぶん愛しあってる二人が使ったんだろうね。
羨ましいよね、結ばれて、愛する人と会えて。
あなたにも好きな人はいたのにね。
会いたかったよね。
「・・・けんたろのばか」
スフィーは呟いた、涙を押し殺しながら。
八つ当たりだとわかっていても。
「・・・やっぱ子供なんだな」
それを見て北川は呟いた、少しの同情を抱きながら
ちょっと誤解入ってるけど。
解析は続く。
【北川 スフィー CD解析中】
【回想ですので時間はほとんど過ぎてません】