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動き出す意思


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「5つのCDを集めろ。それを岩山の施設で使えば禁呪が再現できる。
 守りのHMもお前達の命令なら……」


まだまだ話は続きそうだが聞き逃すわけにもいかないので俺は一時停止を押した。

「ちょっとまだ途中じゃない、何考え……」
スフィーが抗議の声を上げたがすぐに気がついたらしい。俺の首筋にナイフが突きつけられてるのに。

辺りを見回せばありとあらゆる場所から俺たちは狙われていた。
全ての窓と扉から武器を構えている奴がいる。まあこうなる事を予想しなかった訳でもないが……

「蝉丸さんか耕一さんは居ますか?七瀬さんの紹介で来たんですが?」



人生予想通りに行かないものです。この一言でまわりの人もある程度警戒を解いてくれると確信してたのですが。
このナイフ持った奴だけは全く変化がありません。
「証拠はあるのか?」
この一言です。一歩でも動けば首狩る気満々です。目が血走ってます。
「彰お兄ちゃん止めて!」

とりあえず周りの連中が彼を引き剥がしてくれてホッとしました。
あの薬やってそうな奴は説得してくれた小学生と一緒に奥に下がって行きました。
「さて、七瀬君の紹介とはどういうことか説明してくれるかな?」
女装趣味の変態野郎がこの中のリーダーのようです。



「……という事でPCがあるこの診療所にやって来たんだ。」
両方の自己紹介や現状説明も終わる頃には彰君と初音も帰ってきた。

「落ち着いたかい?」
「心配かけてすいません。耕一さん少しいいですか?」

彰君がそう言って今度は俺を奥に連れて行った。
「一体何のようだい?」
「実は……」
彰君は一人で行動していた時のことを話してくれた。
知り合い二人を探しに行っていた事、すでに死んでしまっていた事、施設の裏口を発見したこと。そして……
「その施設から同じ匂いっていうか良く分からないんですけど変な感覚なんですよ。」
そこまで聞いて俺はある予感がした。もしかしたら千鶴がそこに居るのではと。
「すいません何か変なこと言って、こんな愚痴初音ちゃんとかに聞かせる訳にもいかないので。」
俺は皆の所に戻りながら決意した、一刻も早く施設に行く事を。

「そろそろ続きを見ていいかしら?」
「ああ、すまない続けてくれ。」

そしてまた変な顔の話は続く。

「……次に神奈が封印されている社の位置ともしもの為の他の封印場所を記載しておく。
 まずは社の位置だ、それは……」

そして全ての情報が読み終わり画面は白紙に戻った。


誰も言葉が出なかった。この老人がしようとしたことも理解できる。
正直鬼の力が使えたとしても神奈とやらには勝てる気がしない。
多分この島の能力者すべてが手を組んでも勝てる可能性は低いだろう。
こんな化物が暴れれば確かに天文学的な被害が出るかもしれない。しかし……

その沈黙は意外な形で破られた。
「──スフィー……。聞こえるか……。スフィー……── 」

直接頭の中に刻み込まれる声。この声、この波動、間違いないあの人だ。
私はすぐ返事をするために呪文を唱えだした……でもダメだった。
アレだけ強力な呪文を食らっても結界の方には影響が無いみたいだ。
色々問い質したい事もあった、文句の一言でも言いたかった。でもこの通信は片道だけ。
決して返信することは出来ない。ただ聞くしかない。

「……CDを集め……ることを祈って……施設……別の参加者……占拠され……」

受信状況の悪いラジオみたいに断続的に聞こえてくるメッセージ。
私は結界に妨害されながらも何とか情報を読み取ろうと努力した。

「……奈の善の心……抵抗されず……倒せ」

そして通信は終った。結界の中に入ったかそれとも力尽きたのか。
「今のは一体……内容もあまり把握できなかったが?」
「主催者からのメッセージよ。最新情報のおまけ付きでね。」

私は自分が聞き取ることができた情報をみんなに伝えた。
すでに施設は別の参加者が占拠したらしいという事、先ほどの魔法は失敗したという事、そして……

「私はこれから神奈が封印されてる社に行くわ。」
「どういう事だよ、お前が居なきゃこのCDが揃っても意味無いんだろ?」
「別に私じゃなくても大丈夫よ。」
北川が絡んでくるが私は軽くそれをあしらった。

「確かに魔法の力はある方がいいわ、でもねこれは呪文の手順をほとんど機械化しているの。
 この魔法を成功させるポイントはそれに対する想いよ。
 魔法って言うのは想いを実現させる物、想う力が強ければそれだけ魔法は威力を増す。
 私じゃなくてもこの呪文は発動できる。そしてそれだけの想いを持っている人を二人知っている。
 一人目は芹香さん この人は黒魔術を使えるんだから間違いなく成功するわ。
 そしてもう一人はね……アンタよ。」



スフィーが俺を真っ直ぐ見つめながらそう言って来た。しかし俺が?魔法を使える?
「アンタがそのCDに今生きる目的の全てを賭けている事は分かってるのよ。」
「確かにそうだ。俺はレミィとの思い出の詰ったこのCDにすべてを賭けてる。だからって……」
「アンタ自分の気持ちが信じられないの?全てをかなぐり捨ててでもCDを使おうとは思わないの?
 アンタが本気で彼女の事を思ってるなら絶対成功させなさい、あんたの手で。」

その一言を聞いて即答してやった。
「本気で彼女の事を思っているならか……だったら絶対俺のほうは成功するぜ。」
「あら、自信満々ね。」
「それよりお前の方は一体どうするつもりだ?このCDを発動させればこんなゲームも終了するのに。」
このまま一緒に施設へ行ってCDを使えば神奈とか言う奴が倒せる。
そうすれば何の邪魔も無くこの島のどこかにある潜水艦で脱出できるんだ。
たとえ潜水艦が無くても能力者の中には脱出することができる能力を持っている奴がいるかも知れない。
「幾らさっきの呪文で神奈が消耗してるからって同じ呪文で倒せるとは限らないわ。
 それにアレほどの化物に下手に抵抗されれば呪詛返しであっという間にあの世行きよ。
 だから神奈が抵抗できないようにしに行くの。」
「そんな事ができるのか?」
「ええ、一つだけ心当たりがあるわ。だから一緒に行けないの。」

リアンと一緒に神奈と接触した時確かに善の心を持っていた、それを説得できれば……。

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