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応用と実戦
「チッ……!」
往人はいち早く気を取り直し、いまだ呆然としたままの芹香の腕を掴んで建物の影に転がり込むと、
すぐさまアサルトライフルを構えなおして通りの方を覗きこんだ。
「どっ、どういうことよ、あれは!」
ようやく気を取り直した芹香が、往人に食ってかかる。
「知るか。『あいつ』がやったんだろ」
対する往人の答えはそっけない。
芹香の方を振り向きもせず辺りを警戒している。ただでさえ悪い目つきがますます険しい。
その真剣な様子に、思わず芹香は黙り込んだ。
(倒れていた男はさっきの蝉丸とかいう奴だった。やられたのはおそらく俺達が来る直前。
なら、あいつはまだ何処かに隠れて獲物を狙っているに違いない……)
こちらの居場所も知れているのかもしれない。先ほど撃たれなかったのは幸いと言えるだろう。
往人の頬を嫌な汗が伝う。
「くそっ、ヤバイぜ……これが使えりゃな」
往人は探知機を取り出してスイッチを動かした。
だが、そこには何も映らない。ただカチカチという音だけが空しく響くだけだ。
「こんな大事な時に電池切れなんて、これだから機械は嫌いなんだよ」
そうボヤくと、足元にそれを投げ捨てる。
「あ、こら。そんな乱暴に……」
(電池……?)
そのとき、芹香はふと思い当たった。
手元の電動釘打ち機を見る。
電動。
それには当然ながらコンセントはついていない。ならば、どうやって動いているのか。
グリップの辺りを探り、そこにあった蓋をあける。
その中の、線に繋がれた黒い箱に収まっているものは――
「……あ、乾電池」
正確には充電池であるが。
「ってことは……!」
芹香は急いで往人の投げ捨てた探知機を拾い、それを探った。
「おい、あまり音をたてるな」
後ろでなにやらゴソゴソやりだした芹香に声をかける。
「ちょっと待って。もしかしたら、探知機が使えるかも」
それを聞いて往人は思わず振り返った。
「なに? 本当か?」
「ええ……んと、+がこっちだから……よし、はまったわ。映すわよ」
探知機を覗き込む。そこに映る光点は――
「……あれ?」
その瞬間、あたりに銃声が響き渡った。
郁未は思わず足を止める。
(今の音……さっきの場所から? 他に誰かいたの?)
誰が撃ったものかは解らない。
しかし、それが誰であろうとあいつは戦うだろう。殺そうとするだろう。
それが『今のあいつ』の全てだから。
あの髭の男は放っておくわけにはいかない。
けれど……脳裏に、重症を負ったあいつの姿が浮かぶ。
「どうすれば……」
どうすれば。
郁未は立ち尽くしていた。
【探知機 電池交換により復活、しかし電池の残量は不明】
【電動釘打ち機 電池無し】
【銃声 誰のものかは不明】