心の行き先


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雨でぬかるんだ地面を蹴るように俺は走っていた。
焦る俺の心と裏腹に体は思うように動いてくれない。
それも当然と言えば当然だろう。
この体はまだ傷が癒えていない。
それでも俺は走るのを止めるわけにはいかなかった。

とにかく一刻も早く梓を捜し出さなくてはならない。
そしてマナちゃんの所に戻らなくては。
マナちゃんは強がっていたけど彼女がそう長くはもたないだろうことはすぐに分かった。
病気か、それとも他の何かが原因なのか俺には見当もつかない。
だが、いずれにせよ早く何らかの処置をしなければ助からないだろう。
あの施設の中になら恐らく何らかの医療器具があるに違いない。
そこにマナちゃんを連れていけば何とかなるかもしれない。
今の俺はそのわずかな希望にすがるしかなかった。

くっ。
一瞬周囲の景色がゆがんだ。
恐らく怪我をおして走っているせいだろう。
木に手をかけ、倒れそうな体を支える。

柏木耕一!お前は地上最強の鬼の血を引く者だろう!
俺がしっかりしなきゃ梓もマナちゃんも助けられないぞ!
俺は自分に渇を入れる。
そしてまた俺は走り出した。

「さて、それじゃ行きましょうか」
晴香のその言葉に私と観鈴さんは頷いた。
「そうね、観鈴さんも私達と目的地は同じみたいだし。一緒に行きましょ」
「は、はい。よろしくお願いします」
「ええ。それにしても、あなた随分たくさん武器持ってるわね」
「が、がお………」
観鈴さんが困ったように呟いた。
「それだけあると重いでしょ。私達が少し持ってあげるわ」
「そうね、いい?」
「あ、はい。でも、いくつかは自分で持ちます」
観鈴さんがいくつかの持ち物を手に取った。
私と晴香で残りの武器を手分けして持つと神社を出発することにした。

「あ、あの!」
「ん?どうしたの?」
観鈴さんが神社を出てすぐに声を出した。
「誰かがこっちに来てるみたいなんですけど」
「え?」
私達の目の前に出されたレーダーには確かに一つの光点が私達の方に近づいてきているのが見えた。
「………観鈴。アンタそこら辺に隠れてなさい」
「え?でも………」
「そうね、大丈夫よ。まだ敵と決まった訳じゃないんだし」
「そうそう。それにもし敵だったら観鈴が影から撃ってくれればいいんだし」
私と晴香の言葉に頷くと観鈴さんは心配そうな目をしながら近くの木の陰に隠れた。
まるで小動物のような動作だ。
「フフフ」
思わず笑みがこぼれる。
「どうしたのよ?気持ち悪いわね」
「失礼ね。ちょっと知り合いを思いだしただけよ」

折原、ゴメンね。繭のこと結局助けられなかったわ。
空を見上げながらそう心の中で呟く。
結局この島に来る前の知り合いの中で生き残っているのは私一人だけだった。
折原の最後の願いだった繭を助けることも出来なかった。
でもきっとあいつのことだから笑いながら「七瀬。お前は頑張ったんだから気にするな」って言ってるわね。
だけど、それじゃあいつの死が報われない。
だから私はせめて最後まで生き残る。
もう、それしかあいつの願いを叶えることは出来ないから。
「七瀬。来るわよ」
晴香の言葉に私は持っていた刀を持ち直した。
ガサッ。
「動かないで!」
晴香が物音のした方に銃を向けながら叫んだ。
「晴香ちゃん?」
聞き覚えのある声と共に草むらから出てきたのは―――。
「変態さん?」
何故か隠れているはずの観鈴さんのつぶやきが聞こえてきた。


【耕一  七瀬・晴香・観鈴達と遭遇】
【耕一 防弾チョッキ(アイドルタイプ)・ナイフ・中華キャノン・ニードルガン所持】
【晴香 刀・人物探知機・ワルサーP38・包丁・伸縮式特殊警棒・ベレッタM92F

     アサルトライフル(G3A3アサルトライフル)・高槻の手首(?)ひとつ 所持】
【七瀬 毒刀・手榴弾三個・レーザーポインター・瑞佳のリボン・ステアーAUG・ベネリM3

     志保ちゃんレーダー・高槻の手首(?)二つ 所持】
【観鈴 人形・デザートイーグル(弾切れ)・シグ・ザウェルショート9mm・投げナイフ×2・反射兵器 所持】

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