空へ
空を見上げる。
降り注ぐ光が次第に弱まっていく。
「ん?」
ふと地面に目を落とす。
地面に何かが落ちているのに気付いた。
それは黒い羽と白い羽だった。
まるで互いに寄り添うように。
「そら………」
それを見て何となく理解する。
お前はちゃんと彼女を救えたんだな。
それに比べて今の俺は情けねぇなぁ。
ポテトとの約束も守れず、ただ生きてるだけ。
こんなんじゃあの世であいつらに顔向けできねぇな。
俺は爪で自分の顔を引っ掻いた。
「ってぇ………」
でもおかげで目が覚めた。
そうだな、愚痴ってても仕方ないな。
あいつらはあいつらがやれることをやった上で死んでいった。
なら俺もやれることをやった上で生きていこう。
あいつらの分までな。
「っと」
後ろからふいに抱きかかえられた。
いつもなら暴れ出す所だが今の俺は気分がいいからな。
ま、特別に許可してやるぜ。
ふいに風が吹いた。
地面に落ちていた一対の羽が空へと飛んでいく。
俺はそれを目で追う。
ポテト、お前との決着はその内つけてやるからな。
そら、悪いけどポテトに俺の分まで約束守れなかったこと謝っといてくれよ。
ぽち、お前のこと結局守れなかったな。文句はまた後でゆっくり聞かせてもらうから。
今はまだお前らに会えないけど。
いつかまた必ず会えるから。
だからその時まで。
「………またな」
何故か目から涙がこぼれる。
けっ、涙なんて柄じゃねぇのにな。
「泣きたい時は泣いた方がいいわよ」
俺を抱いている人間が頭をなでながら声をかけてくる。
―――ありがとう、ぴろ君―――
空耳か?
そらの声が聞こえたてきた。
ったく相変わらず水くせぇな、そら。
ずっと言ってるだろ。
「俺達、親友だからな」
羽は空高くのぼっていく。
幸せな記憶と小さな一匹の猫の思いをのせて。
どこまでもどこまでも高く。